世代を超えて住み継いでいく長寿の家。
家は建てて終わりではありません。ヴァルトは「建てるまで」はもちろん、10年、20年先、もっと先の「建ててから」も、ご家族がずっと安心して快適に暮らせる長寿の家を目指しています。
長寿の家を目指して
長寿の家を実現するには、躯体の耐久性と強度の確保はもちろんですが、永く住んでも飽きにくいこと、メンテナンスのしやすさなどもポイントになります。ヴァルトでは愛着を持って永く住み継げる家になるよう主に次のような配慮や工夫・対策を行っています。
耐久性:結露・シロアリ対策
躯体での温度差や過多な湿気の停滞は壁内結露につながり、木材の劣化・腐食を急激に促進します。また、シロアリなども湿気を含む木材を好むため、同様に注意が必要です。
- ヴァルトでは透湿性・吸放湿性を持つ素材を厳選使用することで、建物全体に呼吸性能・調湿機能を持たせています(ブレサビリティの保持)。
- 木質繊維断熱材、標準装備のパネルヒーター、適切な換気が結露の発生を最小限に抑制、躯体の耐久性の向上に貢献します(ブレサビリティの維持)。
- 有機素材特有の防虫対策には非塩素系ホウ酸を使用。致死量が食塩の7倍近くもあるホウ酸は人体に影響も少なくシロアリ対策に有効です。
持続可能:耐震性、メンテナンスなどへの配慮
永く快適に住むためには適切なメンテナンスが欠かせません。また、飽きにくい工夫や耐久性のある設備機器を採用することなども大切だと考えています。
- 住まいが永く持続するためには構造的な強度を備えていなければなりません。ヴァルトは耐震性能を落とさない家づくりを行っています。
- メンテナンス時にも材料の補充がスムーズに行えるよう、いつでも容易に供給可能な汎用素材を優先的に採用・提案しています。また、メンテナンスしやすいシンプルな建築を心掛けています。
- ヴァルトが採用しているパネルヒーターは耐久性やメンテナンスにおいても優秀です。また、デマンド換気システムはモデルチェンジが少なくメンテナンスが簡単、フィルタの交換も不要です。
- 永く住んでも飽きにくく流行に左右されないデザイン、経年美を楽しめる落ち着いた魅力ある素材や造作を採用・提案しています。
建物の劣化を防ぐ決め手、呼吸性能「ブレサビリティ」
木材は優れた建築素材ですが、湿気を含んだまま一定期間経過すると急激に劣化が進み、腐食が始まってしまいます。家の長寿命化を考える際、最も重要で大きな問題となるのが湿気(結露)です。住まいの基本として高断熱・高気密化は必須ですが、壁内結露の危険性が増すため、高断熱・高気密の家こそしっかりとした対策が必要です。
ヴァルトでは、結露対策として建物の呼吸性能に着目し、透湿性・吸放湿性を持つ素材を厳選使用することで建物全体に呼吸性能・調湿機能を持たせており、これを「ブレサビリティ(Breathability)」と呼んでいます。独自の技術で呼吸性能(ブレサビリティ)を損なうことなく高い断熱性・気密性を備えた住まいを実現しています。
ブレサビリティは、空気のみを対象にした呼吸ではなく水蒸気(湿気)・水の透過性・吸放湿性を含む包括的な呼吸性能を維持させる考え方です。空気と湿気は密接な関係にあるので風通しなども視野にあります。
※呼吸性能は、一般的に使われる「呼吸」だけでなく水蒸気(湿気)や水そのものの移動性能(バランスの変化)を指しています。
【1】室内側仕上げ材(透湿性)【2】室内側下地材(透湿性)【3】サービス空間(バッファーゾーン[空気層])【4】構造材(透湿性)【5】充填断熱材(透湿性)【6】外張断熱材(透湿性)【7】屋内側仕上げ材(透湿性)
ヴァルトの家は、素材全てに透湿性を持たせており、湿気の排出は内側・外側、両面かつ全面で行われるため、高い排出効率が望めます。また、拡散と隙間空気の相対湿度調整は速やかに行われます。
建物全体の湿気は必要に応じて吸放湿されるため、湿気の停滞や、過多な湿気の停滞が原因で生じる結露の可能性が軽減されます。
伝統的な日本の木造建築はブレサビリティが見事に生かされており、何百年という時を経ても朽ちることなく理想的に維持されています。ヴァルトでは伝統的なブレサビリティの技術を現代の建築現場に即して継承・発展させ、建物の劣化を遅らせる重要な技術として推奨・実践しています。
透湿性と気密性を両立する木質繊維断熱材 パヴァテックス
ブレサビリティを保持したヴァルトの家の基盤となるのが木質繊維断熱材です。中でもヴァルトではさまざまな要素に配慮されたパヴァテックス断熱材を国内でもいち早く採用し、全仕様で用いています。
- パヴァテックス断熱材の主な特徴・メリット
- 環境基準の厳しいドイツをはじめとするヨーロッパ諸国で信用され採用されているパヴァテックス社(スイス)の木質繊維断熱材。
- 透湿性・吸放湿性といった木の優れた性能を保持しつつ、高い断熱性に加え施工性や気密性の向上も実現できます。
- 経年変化が少ないため気密性が長く保持されます。
- 施工性が高く施工品質が均一になりやすいため断熱材の欠損の可能性が少なくなります。
- 室内の温熱環境および相対湿度の安定化に貢献、結露の発生抑制につなげられます。
- 他の断熱材には例をみないバランスのとれた室内気候を実現します。多くの認証や賞によっても裏付けられています。
パヴァテックス断熱材は、鉱物系断熱材などよりも高い透湿性を保持するだけでなく、高い断熱性や気密性も両立し、室内の温熱環境および相対湿度の安定化に優れた力を発揮します。建物の長寿命化に欠かせないブレサビリティの基盤となりその実現・維持に貢献するほか、断熱気密性能の向上や品質の長期維持などの面でも評価されています。まだ日本での採用例はほぼ見られませんが、健康快適性、省エネ性、環境配慮など、あらゆる面からヴァルトの家づくりでは欠かせない重要な素材となっています。
パヴァテックス断熱材を使用して施工精度を高められるよう考案された最適な断熱気密工法をトータル的なシステムとして「パヴァテックス断熱気密システム」と呼んでおり、ヴァルトでは独自の複合断熱に導入しています。
長寿の家に最適なパネルヒーター
結露は空気中の水蒸気(湿気)が飽和状態になったときに始まり、水蒸気を多く含んだ暖かい空気が冷たいモノにあたって冷える際に水滴になることで起こります。結露を防ぐには湿度コントロールのほか、家や窓の断熱に加えて家全体の温度差をできるだけ小さくすることもポイントになります。
ヴァルトが採用し標準装備しているパネルヒーター(ラジエータ型放射暖房)は、家中を安定した温度と湿度に保つことができるため、結露の発生を最小限に抑制でき、躯体の耐久性の向上に貢献します。
また、長寿の家では建物寿命と併せて採用する設備機器の耐久性も考慮したい点ですが、パネルヒーターは構造が単純なため故障が極めて少なく耐久年数が長いというメリットもあります。そのほか、低温時の微妙でデリケートな外気追従温度設定が可能で、連続運転しても比較的費用がかさまないように調整できます。エネルギーのロスが少なく経済的なところも魅力の一つです。
長寿の家にはメンテナンスも必要
家の寿命が仮に50年だとしても、その全てが新築後50年交換の必要がないわけではありません。耐用年数が数~10年ほどという短いものもあり、また手入れをしなかった場合、予定の年数が来る前に使えなくなる可能性もあります。永く快適に住むためには適切なメンテナンスが必要不可欠です。
ヴァルトではメンテナンス時にも材料の補充がスムーズに行えるよう、専用の特殊な建材や特殊な加工を伴わない汎用的な自然素材を使ったシンプルな建築を心掛けています。
- ヴァルトのメンテナンスへの取り組み
- 時代を超えて調達可能な汎用素材を優先的に採用・提案しています。
- メンテナンスしやすいシンプルな建築を心掛けています。
- メンテナンスしやすく耐久性のある設備機器を採用・提案しています。
メンテナンスしやすいヴァルトの複合断熱
ヴァルトの複合断熱構造(パヴァテックス断熱気密システム)は、外壁にサービス空間(配管・配管可能空間)が設けられているため、後工事の配線工事などでも断熱層に触ることなく工事が可能、メンテナンスが比較的容易です。
パネルヒーターは耐久性やメンテナンスにおいても優秀
パネルヒーターは、密閉システムを採用しているためメンテナンスが少なくすみます。ラジエータの寿命は半永久的で、構造が単純なため故障が極めて少ないところもメリットです。万が一不具合が生じた場合も、例えば床暖房の場合は同じ放射暖房でも簡単に取り外すことは困難ですが、パネルヒーターの場合は単純に取り外して工場にて修理点検が可能です。
火事や地震にも強い木の住まい
木造住宅というと耐久性や耐震性に欠けるイメージがあるかもしれませんが、鉄やコンクリートを使った住まいよりも耐久性が高く長寿命です。
安全面や強さの面でも高い性能を誇る木材
- 鉄骨造の場合、鉄自体は燃えなくても高熱で折れたり曲がったりすることがあります。また、ある強度を超えるといきなり倒壊してしまう可能性があります。
- 木造住宅の場合、木は火事の場合でも表面が炭化して内部を火から守る性質があり、中心部まで燃えるのを防ぐため、柱などが完全に燃えるのにはかなりの時間がかかります。
- 木造住宅の場合、木は地震に対しても強度を保ち揺れを吸収するというしなやかさを持っています。
建物の寿命を延ばすには当然適切なメンテナンスが必要不可欠ですが、このことは今なお存続する日本の大昔からある寺院や仏閣を見ても、木造の建築物がいかに丈夫なのかが分かります。ヴァルトは厳選した木材を軸に耐震性能を落とさず災害に強い家づくりを行っています。
素材の経年美を楽しもう
月日が経つにつれて風合いや色合いが変わり趣が深まっていくのも自然素材の魅力です。自然素材には内装・外装ともに経年美を楽しめる建材が多く、年を経るごとに表情を変えるさまが楽しめます。
ヴァルトでは永く愛され続ける住まいを目指し、次のことを心掛け実践しています。
- 経年美を楽しめる落ち着いた魅力ある素材や造作を採用・提案すること。
- 実用的な強さや機能美を備えていること。
- 永く住んでも飽きにくく流行に左右されないデザインであること。
世界に誇る日本の伝統建築/歴史的建造物は、何百年を経た今日でもその美しさは衰えることを知りません。そのほかアルプスの伝統的民家やフィンランドのログハウスなどにも実用的な強さや機能美が込められたシンプルなカタチがあり、時代を超えた美しさ・親しみやすさがあります。
永く保たれ愛され続ける建築や民家には、確かな共通点があります。ヴァルトもこれら古くからの多くの知恵にこれからの住まいのヒントを得て、ヴァルトの家づくりに継承・発展させています。