窓の選択が家の性能を決める – ドイツ製高性能サッシ「DAKO」という選択
株式会社ヴァルト 代表の小野です。
前回は、私たちが目指す「呼吸する家」の基本的な考え方と、結露問題の重要性についてお話ししました。今回は、その理想的な住まいを実現するための具体的な要素の一つ、「窓」に焦点を当てます。
家の中で最も熱の出入りが大きい場所、それが窓です。どんなに壁や屋根の断熱性能を高めても、窓の性能が低ければ、そこから熱は容赦なく逃げ、あるいは侵入してきます。冬は暖房の熱が逃げて窓辺がひんやりとし、夏は強い日差しが差し込み室内を暑くする。そして、温度差は結露の大きな原因ともなります。つまり、窓の選択は、住まいの快適性、省エネルギー性能、そして建物の健康寿命を大きく左右する、非常に重要な要素なのです。
そこでヴァルトが標準採用しているのが、省エネ建築の本場ドイツをはじめ、ヨーロッパ各国で高い信頼を得ている「DAKO」社の高性能サッシです。私たちがDAKOサッシを選ぶ理由は、その卓越した「断熱性」と「気密性」にあります。
まず「断熱性」について。ヴァルトで標準的に採用する樹脂サッシは、熱伝導率の低い樹脂フレームと、アルゴンガスが封入されたトリプルガラス(3層ガラス)を組み合わせ、さらにガラス表面にはLow-Eコーティングを施すことで、極めて高い断熱性能を実現しています 。熱貫流率(U値)という、熱の伝えやすさを示す指標で見ると、一般的なアルミサッシ(単板ガラス)のU値が6.51 W/m²K程度であるのに対し、DAKOの高性能サッシ(DPQ-82 Thermoなど)では0.77 W/m²K以下という驚異的な数値を達成しています。これは、窓からの熱損失を大幅に削減し、冷暖房に必要なエネルギーを劇的に減らすことができることを意味します。結果として、光熱費の削減はもちろん、CO2排出量の削減にも貢献します。
次に「気密性」です。DAKOサッシは、複数のパッキンと複雑なロック機構により、一般的な日本のサッシとは比較にならないほどの高い気密性を誇ります。これにより、不快なすきま風をシャットアウトし、暖房・冷房の効率をさらに高めます。また、高い気M性は、外部からの騒音を遮断する「防音性」の向上にもつながり、静かで落ち着いた室内環境を実現します。さらに重要なのは、高い気密性によって初めて「計画的な換気」が可能になるという点です。隙間の多い家では、どこからどれだけ空気が出入りしているか分からず、適切な換気計画は立てられません。高気密なヴァルトの家では、換気システムによって空気の流れを正確にコントロールし、常に新鮮な空気を維持しながら熱損失を最小限に抑えることができるのです。
そしてもちろん、「結露対策」としての効果も絶大です。高い断熱性能により、冬場でもサッシ枠やガラス面の温度が下がりにくいため、不快な結露の発生を大幅に抑制します。これは、カビやダニの発生を防ぎ、健康的な室内環境を維持する上で非常に重要です。
ヴァルトの「呼吸する家」において、高性能サッシは単なる部品ではありません。それは、家全体の断熱性・気密性を高いレベルで確保し、計画換気を可能にし、結露リスクを低減することで、壁の「呼吸」能力を最大限に活かすための、いわば”門番”のような重要な役割を担っているのです。
次回は、その「呼吸する壁」の核心ともいえる、木質繊維断熱材「PAVATEX」について詳しくご紹介します。