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社長コラム

2016.12.16社長コラム

住まいの省エネ性能とZEH

 昨年度から長野県が全国に先駆けて義務化した「建築物環境エネルギー性能検討制度」は、施主側にこれから建築する環境性能(一次エネルギー消費量)を説明することで、計画中の住まいの省エネ性能の程度を確認・把握、もしくはさらなる性能強化を検討する機会とするためのもです。
 検討の機会を義務化することで、省エネへの理解が進み、更に環境性能の強化を即し、結果として地域的にも住宅部門のCO2削減に、ひいては地球規模の温暖化防止策の推進につながることになります。

 日本の暖房に費やすエネルギーは、ヨーロッパの先進諸国に比べまだ少なく一見省エネ意識の高い国なのかと勘違いするようなデータがあります。しかし、欧米先進国が全館暖房が当たり前になっているのに対し、日本では未だに局所・部分暖房が主流で結果的に高熱費が節約されているのが現状なのではと思います。
 しかしこれからの時代は、我慢しない快適な住環境を求める人が増えるのは目に見えています。それが進み住宅部門のエネルギー増加が加速されるのではと危惧しています。

 温暖化防止に向け世界規模でCO2削減に取り組んでいる今、日本政府としては2020年からZEHを標準化しようとしています。EU諸国でもEU指令(※1)により2020年からNearly ZEH(厳格なZEHと比較しやや広義なZEH)が義務化されようとしています。

 しかしその取り組み内容に少し違いがあります。日本ではとにかく「エアコン・給湯器など設備器具の効率を上げながら太陽光発電などで創エネして補う」という周辺設備などのを利用してZEHを実現させようとする向きが比較的多いようです。これらは一見高性能な住宅に見えますが、実は躯体そのもの断熱強化がそれほど重要視されていません。

 これに対しEU指令では、「建物そのもの性能を上げて」できるだけ必要な消費エネルギーをゼロに近づけようとしています。その基準はおおむねパッシブハウス(※2)の基準と言われています。

 弊社の住宅ではほぼ全棟建築主の協力を得て実測値での環境性能の測定をしておりますが、その実測結果の内大豆島展示場の例では、パッシブハウスレベルのエネルギー消費量を下回る実測結果が出ています。またその他の一般住宅の実測値でも興味深い実測結果が得られています。
「建築物環境エネルギー性能検討制度」に基づく計算値より実測値の方が性能的に上回る結果となっていることが多いのです。

 理由を簡単に断定することはできませんが、理由と思われることの一つが木質断熱材の利用です。この素材の使用はイニシャルコストは多少高くつきますが、蓄熱による熱伝導の遅れ(※3)が確認されています。とりわけ夜間と日中、また夏の午前中から昼過ぎ頃までにあるような、温度の急激な変化に対し特にこの性質が発揮され、素材自体の断熱性能に加え、この熱伝導の遅れが断熱効果として加算されるような結果になります。
 断熱素材の伝導熱係数(※4)頼りの画一的な熱量計算では計算しきれない部分があるようです。それを実測値が証明しているように思います。

 設計時の計算値(※5)と実測値(※6)の差異は、1度や2度の実測では見えにくいものですが、類似条件の家の実測を繰り返し行うことで、その違いは確かな手応えとなってきています。そしてこのプラスアルファーの省エネ性能は、将来にわたり確実に高熱費の削減に貢献してくれると確信しています。また長期にわたりその断熱性能が持続されることも、もう一つの大きなメリットと考えています。
 そしてこのように建物自体に高品質な断熱機能・省エネ性能を持たせた建物は、住まいとして最も基本的且つ大切な、住む人の健康を維持するための質の良い温熱環境を合わせ持つ住まいとなります。

参考資料:
 数年前に長野県内の使用中の住宅9棟で同一条件で測定された実測データに基づくグラフと、弊社大豆島展示場の実測データのグラフをご覧ください。BELS 省エネ性能表示の内容解説もご参考に。
■ 省エネ性能表示「BELS」の内容解説
省エネ性能表示「BELS」の内容解説
▶PDFファイルを表示
 
■ 県下断熱省エネ研究結果
県下断熱省エネ研究結果
▶PDFファイルを表示
 
■ 大豆島展示場実測状況
ヴァルト大豆島展示場内外の温熱環境実測状況
▶PDFファイルを表示
 

※1 EU指令
通常はEU加盟国へは直接適用されず国内法への置き換えが必要、EU加盟国が指令で定められた期日までに国内法として制定・改正する必要がある。各国内法への転換の際には一定の裁量権が与えられているので、各国間で法令が異なる場合もある。

※2 パッシブハウス(総消費エネルギー量の基準のみ抜粋)
パッシブハウスでは総消費エネルギーが年間45kW/㎡年(平米あたり年間45kW) 以下を基準としています。

※3 蓄熱による熱伝導の遅れ
土蔵や鉄筋コンクリート造りの建物の内部温度はとても安定しています。それは蓄熱量の大きい素材を外壁に使用しているからです。壁が熱をため込むので外気温が室内に伝わる時間が余計にかかるためです。一般的に比重の大きい素材が蓄熱量が大きく、断熱材でも木質繊維断熱材は質量が大きいので、程度の違いはさておき、土蔵のような安定した室内温度が得られます。

※4 伝導熱係数(熱貫流率)
発泡系断熱材、グラスウール、木質繊維断熱材のように素材毎に,熱伝導率が違うのでその性能を数値化したもの。建物の断熱性能を計算する場合には、各素材毎(メーカー毎)にそれぞれ違った数値を適用し計算されます。同じグラスウールと言っても、密度や製造方法の違いにより断熱性能が違うため、各製品毎(メーカー毎に)に異なる係数が示されています。

※5 設計時の計算値
屋根・外壁・床・窓・ドアなど各部毎に面積と素材を当てはめ、計算(試算)する値、理論上の性能値。

※6 実測値
入居後実際に生活に使用しながら、実際の室温・外気温を設定した定時に、計測器を備えた位置毎に、一定期間実際に継続して計測・集計した値。近年では「HEMS」など電気回路のデータを直接収集する方法もある。又は代用として、電力会社の電力使用量明細書も実際に消費されたエネルギー量を知ることができる有効な実測値といえます。


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